デリケートなバルク原薬をコールドチェーン全体にわたって保護するには、保管中や輸送中の製品損失リスクを低減する、堅牢なコンテナシステムが必要です。
本ウェビナーでは、新世代のCelsius® FFTおよびFFTpシングルユースコールドチェーンソリューションの開発背景をご紹介します。また、ザルトリウスの専門家が蓄積してきた知見を活かして製品試験およびバリデーションプロセスを開発し、導入を簡素化した方法について解説します。
【主な学習内容】
- これまでの経験と実験に基づく、最新世代のCelsius®コンテナの開発と試験
- 新しいシングルユース凍結・解凍システムによる堅牢性の最大化とリスクの最小化
- 使いやすさを追求したCelsius®システムによるコールドチェーン管理の簡素化
スピーカー紹介
Marion Monstier
凍結・解凍技術担当グローバルプロダクトマネージャー
フランスのボルドー・バイオテクノロジー工学研究所で修士号を取得。2016年にフィールドアプリケーションスペシャリストとしてザルトリウスに入社し、その後、プロダクトマネジメント部門へ異動。入社当初はFill & Finish技術を担当し、現在は凍結・解凍技術に注力している。シングルユースシステムの設計、導入、バリデーションに関する数多くの産業プロジェクトに従事。
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開会と講演者紹介
Rachel Wilkes:
皆様、こんにちは。本日のザルトリウスのウェビナー「Robust by Design:バルク原薬管理のためのバッグ技術を再考する」へようこそ。本ウェビナーでは、Marion MonstierとStefan Woodhouseが講演します。
まず、自己紹介をさせてください。Rachel Wilkesと申します。本日はモデレーターを務めます。
それでは、講演者をご紹介します。
Marion Monstierは、凍結融解技術担当グローバルプロダクトマネージャーです。フランスのボルドー・バイオテクノロジー工学研究所で修士号を取得しています。2016年に流体管理技術のフィールドアプリケーションスペシャリストとしてザルトリウスに入社し、その後、プロダクトマネジメント部門へ異動しました。当初はFill & Finish技術を担当し、現在は凍結融解技術に注力しています。
Stefan Woodhouseは、凍結融解技術担当プロダクトスペシャリストです。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで生化学工学の博士号を取得しました。2016年に流体管理技術のアプリケーションスペシャリストとしてザルトリウスに入社し、現在は欧州全域におけるCelsius®凍結融解技術の導入を支援しています。
それでは始めましょう。本日の凍結融解技術に関するウェビナーをお楽しみください。
Marion、Stefan、準備ができましたら始めてください。
バルク原薬の凍結融解における課題
Stefan Woodhouse:
Rachel、ご紹介ありがとうございます。
本日このテーマを取り上げる理由は、バルク原薬の凍結融解が、私たちの業界で非常に一般的な工程だからです。この工程には、すでにさまざまなソリューションが使用されています。
一つは、個別のシングルユースバッグです。すぐに使用できるという利点がありますが、凍結状態では脆くなり、微細な亀裂が発生して漏れにつながる可能性があります。
ボトルも広く使用されていますが、キャップの閉鎖や無菌性の維持に問題が生じることがあります。また、シングルユース製品には、保護フレームにバッグを組み付けるタイプもあります。しかし、この方式では組み立て作業がオペレーターの負担となり、漏れなどの問題が発生するリスクもあります。
特に原薬の凍結工程では、わずかな漏れであっても、計り知れないほど大きな金銭的損失につながる可能性があります。
製造のグローバル化が進み、製造ネットワークが拡大するにつれて、凍結融解工程に対する要求も高まっています。
現在では、バルク原薬の凍結融解だけでなく、充填、保管、輸送など、複数の工程を考慮する必要があります。こうした一連のプロセスにおいて、従来の技術が抱える問題が明らかになっています。従来のステンレス鋼製システムや既存のシングルユース技術には、スケーラビリティ、物流、安全性の面で限界があります。
私たちが目指したのは、こうした課題に対応し、業界、そして何よりもお客様から求められる重要な要件をすべて盛り込んだURS、すなわちユーザー要求仕様を策定することでした。
そのためには、エンドユーザーの皆様との強固な連携が欠かせません。
しかし、URSから実際のソリューションへ、どのように移行すればよいのでしょうか。
Marion、お願いします。
信頼性の高いソリューションを支える三つの専門領域
Marion Monstier:
ありがとうございます。とても良い質問です。
この取り組みには、複数の専門領域が必要でした。
一つ目は、材料に関する専門知識です。候補となるさまざまな材料と、その特性評価方法を熟知している必要があります。これは、設計およびコンセプト策定の前提条件となります。
二つ目は、設計に関する専門知識です。特定のアプリケーションに対して、それぞれの設計がどのような影響を与えるかを理解し、パッケージングの各要素を適切に調整する必要があります。
三つ目は、使用環境に関する知識です。実際のプロセスやアプリケーションを深く理解していることが重要です。
この三つが、信頼性の高いオールインワンソリューションを構築するための重要な柱です。
まず、材料に関する専門知識を詳しく見てみましょう。
これは、材料が持つ重要な特性と、その特性を評価する方法に関する知識を意味します。私たちは、設計の初期段階で必要な情報を得るため、候補材料をさまざまな低温条件下で評価しました。そして、温度変化に伴って材料のミクロおよびマクロの特性がどのように変化するかを確認しました。
次に、使用環境を理解することが重要です。最終設計はアプリケーションに合わせて調整されるため、使用環境は設計を決定する大きな要因となります。
具体的には、製品が受ける可能性のある衝撃、振動、温度変化、その他の外的要因と、それらによって発生する応力を理解する必要があります。
最後に、設計に関する専門知識によって、具体的な製品設計と最終的なパッケージングを決定します。シミュレーションツールを使用して、アプリケーションに応じたさまざまな設計を評価し、応力を低減するとともに、特に影響を受けやすい領域を特定します。
では、信頼性の高い、お客様の用途に合わせたソリューションを、具体的にどのように構築すればよいのでしょうか。
投票:製品をどのように開発しますか
ここで、皆様に質問です。
明日、凍結融解アプリケーション向けの製品を開発しなければならないとしたら、どのような方法を選びますか。
製品開発には、いくつかのアプローチがあります。
一つ目は、社内データベースに登録されている、すでに特性を把握している標準材料を使用する方法です。その材料データベースから複数のプロトタイプを作製し、並行して試験したうえで、最も優れたものを選択します。
二つ目は、標準材料を使って、最も有望と思われる最初のプロトタイプを作製する方法です。それを試験し、修正して再度試験するという作業を繰り返し、最終的な設計に到達します。
三つ目は、候補材料について何も分かっていない状態から、その特性を詳しく評価する方法です。材料の評価結果を使用して設計をシミュレーションし、そのシミュレーションに基づいてプロトタイプを作製して試験します。
投票が機能しているか確認します。問題なく動いているようです。
正解が一つだけあるわけではありません。皆様が製品を自社で開発しなければならず、頼れるサプライヤーもいないとしたら、どの方法を選ぶかを考えてみてください。
回答が完了するまで、少しお待ちします。
結果を見ると、多くの方が、複数回の設計反復を行う方法、または複数のプロトタイプを並行して試験する方法を選んでいます。材料の完全な特性評価とシミュレーションを実施するという回答は、比較的少ないようです。非常に興味深い結果です。
ご回答ありがとうございました。
これからご説明するザルトリウスのアプローチは、三つ目の選択肢に最も近いものです。その理由をご説明します。
品質リスクマネジメントに基づく製品開発
コンセプトから、GMP製造で使用できる実際のソリューションへ移行するプロセスは、一般的な品質リスクマネジメントの考え方で説明できます。
通常、品質リスクマネジメントでは、リスクを特定してランク付けし、予防措置または是正措置を定め、管理計画に基づいて管理します。製品開発でも、基本的なプロセスはよく似ています。
最初のステップは、冒頭でご紹介した重要な柱に基づいて、製品コンセプトを策定することです。
これはリスク分析に相当します。そのアプリケーションのどこにリスクがあるかを特定し、それに応じて製品を設計します。策定されたコンセプトや設計は、アプリケーションに関連して特定された主要なリスクに対応するものでなければなりません。
二つ目のステップでは、完成したコンセプトについて、初期バリデーションで広範な試験を行います。
三つ目のステップでは、製品のリリース後、日常的な製造工程において工程管理を行い、製品の再現性と継続的な堅牢性を確保します。
それでは、最初のステップをもう少し詳しく見てみましょう。
材料特性評価
先ほどご紹介したとおり、アプリケーションに対して優れた性能を示す材料を選定するには、材料特性評価が非常に重要です。
今回のアプリケーションでは、まず低温環境を考慮する必要があります。シングルユースシステムでは、フィルムやチューブだけでなく、保護パッケージングの各要素、かみ合わせ部分、接続部なども評価することが重要です。
ここでは、ザルトリウスのエンジニアが材料のさまざまな特性を評価するために実施している試験の例をご紹介します。すべてを網羅したものではありませんが、代表的な例を選びました。
引張強度は、応力が加わった際に材料が破断することに対する抵抗性を示します。
耐衝撃性は、材料の伸展性などの特性を評価するものです。
破裂強度は比較的理解しやすい特性です。また、低温亀裂試験では、マクロレベルにおいて、材料が延性挙動から脆性挙動へ移行する状態を評価します。
こうした試験結果は、製品の各部分に最も適した材料を特定するために使用されます。
設計とシミュレーション
材料を選定した後、設計とコンセプトの策定段階へ進みます。
予測およびシミュレーションツールは、代表的な試験条件におけるコンテナの挙動を評価し、理解するうえで非常に有効です。
ここでは、静的シミュレーションと動的シミュレーションの例をご紹介します。これらを活用することで、何度も設計をやり直すことなく、取り扱いや輸送中にコンテナが受ける応力や衝撃を動的にシミュレーションできます。
たとえば、充填、凍結、さまざまな衝撃が製品に与える影響を評価できます。
こうしたシミュレーションを経て最終設計を決定することで、特定のアプリケーションに対する堅牢性と性能について、高い確信を得ることができます。
つまり、完成した設計は、凍結融解や凍結状態での輸送を含む、特定のアプリケーションに合わせて設計されたソリューションとなります。
Celsius® FFTおよびFFTpの設計コンセプト
ここに示しているのが、ザルトリウスが開発したコンセプトの概略図です。
このコンセプトでは、フレキシブルバッグをカセット内に収めています。中央のバッグには原薬が充填され、ザルトリウスのフィルムが使用されています。
バッグは二枚の半硬質ポリエステルプレートで挟まれ、さらにその周囲を硬質の保護シェルが覆っています。
このコンテナは、組み立て済み、滅菌済みで、すぐに充填できる状態で納品されます。
バッグを挟む二枚のプレートは、バッグとチューブを固定します。また、耐衝撃性を高め、バッグのしわを抑え、バッグの動きを制限する役割もあります。これにより、取り扱いや輸送中のバッグの動きを抑えることができます。
さらに、凍結時の氷の形成によって生じる膨らみも抑制します。これらのプレートは、凍結融解工程中に発生する応力からフィルムとバッグを保護するように設計されています。
周囲の硬質シェルは、アセンブリ全体の堅牢性を高め、潜在的な衝撃から保護します。また、コンテナを積み重ねられるように設計されています。
堅牢性をどのように証明するか
Stefan:
Marion、では、この堅牢性を実際にどのように証明するのでしょうか。
これまで、初期設計やバリデーションについて説明してきましたが、堅牢性そのものをどのように実証すればよいのでしょうか。ここで、再び参加者の皆様に質問します。
過去に信頼性が実証されている既存の試験を使用すべきでしょうか。たとえば、従来の落下試験や衝撃試験です。
それとも、第一原理から始めて、まったく新しい試験方法を開発すべきでしょうか。
あるいは、バッグを極限まで試験し、高所から落とす、上に飛び乗るといった方法で、どのような扱いを受けても破損しないことを実証すべきでしょうか。
三つの選択肢を挙げました。それぞれに妥当性があります。
回答の時間を少し取ります。
結果を見ると、多くの方が、すでに存在する従来の試験方法を使用すると回答しています。バッグを極限まで試験するという回答が多いと予想していたので、これは非常に興味深い結果です。
たとえばスマートフォンの強度を証明するために、ナイフで切るなどの極端な試験を実施する動画があります。
しかし、堅牢性の保証とは、製品を10 mの高さから落とし、破損しなかったことを示すことではありません。確かに強度を示すことはできますが、その試験が製品の実際のライフサイクルと関連していなければ、試験の科学的根拠がありません。
スマートフォンをナイフで切ることと同じです。実際の使用環境で、そのようなことをする人はいません。したがって、現実的な評価とはいえません。
堅牢性を証明するには、製品のライフサイクル、使用方法、使用環境などについて、アプリケーションを深く理解する必要があります。
その経験と知識に基づいて、実際のライフサイクルにおけるワーストケースを定義し、それを再現する試験プロトコルを構築します。
これが、ザルトリウスが採用したアプローチです。
実際のライフサイクルに基づく適格性評価
シミュレーションを通じてアプリケーションに最適な設計を得た後は、その設計を実際の使用環境を代表する方法で試験する必要があります。そのために、製品およびプロセスの適格性評価を行います。
ザルトリウスは、適格性評価プロトコルの基礎を一から構築しました。
市場には多くの規格があり、ザルトリウスにはシングルユースバッグの試験に関する豊富な知識があります。しかし、凍結コンテナの堅牢性をどのように試験すべきかを具体的に定めた規格は存在しませんでした。
また、凍結コンテナを手作業で取り扱う際に発生する衝撃を定量化したデータも不足していました。
そこで、ザルトリウスのエンジニアは外部のパッケージング研究機関と協力し、予備的な人間工学研究を実施しました。実際の取り扱いで発生する衝撃を定量化し、データベースを構築しました。
このデータベースを基に、どのような試験や落下を実施すれば、研究で確認された衝撃やピーク荷重を再現できるかを判断し、プロトコルを定めました。
これらの試験方法は、充填、凍結、輸送、排液など、凍結コンテナのライフサイクル全体を対象とする、より包括的なプロトコルに組み込まれました。
本日はアプローチ全体を詳しく説明する時間はありませんが、詳細については別途ご相談いただけます。
このライフサイクルには、コンテナが経験する可能性のあるすべての工程が含まれます。
たとえば、先ほど説明した取り扱い試験や、ASTM D4169に基づく輸送試験があります。また、ポリマーに加わる応力がワーストケースとなるように凍結融解サイクルを設定し、製造現場でコンテナの一部だけを使用した後、再凍結する状況なども再現しています。
コンテナの内容物を一度にすべて解凍・排出せず、半分だけ使用する場合もあるためです。
一般的な使用条件だけでなく、手作業による取り扱い、パレットによる取り扱いについても、ワーストケースを試験しています。輸送試験では、最も厳格な試験強度を持つISTAの保証レベル1も採用しています。
さらに、各試験では、試験対象とするパレット構成などについて、科学的根拠に基づいてワーストケース条件を設定しています。
最終的な目的は、バッグの試験条件を、実際の使用環境と製品ライフサイクルに結び付けることです。
落下試験
ここでは、専用に設計された落下試験機を使用したバッグの落下試験をご紹介します。
目的は、担当する技術者にかかわらず、再現性のある方法で落下試験を実施することです。
各コンテナについて、液体状態と凍結状態の両方で、輸送前後に試験を実施しました。
標準プロトコルには七種類の落下試験が含まれ、それぞれの落下試験を五回実施します。複数の試験条件を組み合わせることで、適格性評価の対象となる各コンテナは、合計140回の落下試験を受けます。
これは、10 mの高さから落とすような派手な試験ではありません。しかし、実際に発生し得るワーストケース条件を、可能な限り忠実に再現した一連の試験です。
試験では、コンテナの角、側面など、さまざまな面を落下させます。
次の映像は、ASTMに基づく輸送試験の例です。これは、輸送容器の堅牢性を評価する試験です。
輸送容器の内部には、水を充填したシングルユースコンテナが入っています。試験後にはリーク試験を行います。
映像では輸送容器が落下している様子が分かります。このような状況が実際に起こることは望ましくありませんが、コンテナが試験に耐えたことを確認しています。
輸送性能とバリデーション
Stefan:
つまり、これらのコンテナについて、開発したライフサイクル試験をすべて実施したということですね。
さらに輸送については、熱性能を評価するISTA試験と、機械的堅牢性を評価するASTM試験も実施しています。
これで設計とバリデーションが完了し、バッグが期待どおりに機能することを確認できました。
しかし、実際にエンドユーザーの製造拠点へ納品される製品が、試験した製品と同等であることも確認しなければなりません。どれほど入念に設計とバリデーションを行っても、実際に納品される製品が試験品と異なっていれば意味がありません。
通常の工程管理では、まず滅菌済み製品が納品されることを確認します。シングルユース製品は、滅菌済みですぐに使用できる状態でなければ、その利点を十分に発揮できません。
同時に、製品の完全性も確保する必要があります。最終的に完全性が保たれていなければ、滅菌済みであっても意味がありません。
リーク試験とサプライヤー完全性試験
バッグの完全性について話す際、一般的によく取り上げられるのがリーク試験です。ザルトリウスでは、すべてのバッグにリーク試験を実施しています。
このリーク試験では、100 µmを超える漏れを検出します。100 µmは非常に小さく見えるかもしれませんが、完全性試験の観点では重大な欠陥に該当します。
この試験の目的は、製造上のエラーや、製造工程中の問題によって欠陥が発生したバッグを迅速に排除することです。
一方、ここでお話ししているのは、単なる漏れではなく完全性です。ザルトリウスは、サプライヤー完全性試験を開発しました。
これを単なるリーク試験ではなく完全性試験と呼べるのは、微生物侵入との相関性が確認されているためです。
あらゆるバリデーション試験と同様に、試験結果が実際に意味のある品質特性と相関していなければ、試験を実施する意義はありません。
ザルトリウスは、バッグに生じた孔が2 µm未満であれば、欠陥が小さいため、微生物が侵入できないことを実証しました。
ザルトリウスのヘリウム完全性試験では、2 µm以上に相当する漏れを検出できます。
凍結工程の重要性、そして対象が原薬であることを考えると、お客様の製造拠点へ納品される各バッグの完全性を確認するため、すべてのバッグを試験することが重要です。
日常的な工程管理
完全性試験は、工程管理と製品試験の一部にすぎません。ほかにも確認すべき項目があります。
製品の無菌性を確認し、バクテリアチャレンジ試験を実施します。また、エンドトキシンについて定期的なバッチ試験を行い、独自の粒子防止プログラムも運用しています。
こうした試験には、代表サンプルを使用する試験と、出荷される製品を継続的に確認する試験があります。
試験内容はすべて出荷判定証明書にまとめられています。そのため、広範な試験を受けた製品が納品されるたびに、実施された試験と標準的な管理内容の全体像を確認できます。
これまでご説明したように、実際の製品ライフサイクルを考慮し、必要な試験をすべて実施しています。
取り扱いに関する適格性評価を行い、複数回の凍結融解サイクルに耐えられることを確認するとともに、そのサイクルの特性評価も実施しています。
保存期間試験と安定性試験も実施しています。
製造拠点と充填拠点が異なる場所にあるグローバルな製造ネットワークでは、輸送の重要性が高まっています。そのため、ASTMおよびISTA規格を使用して、輸送時の機械的性能と熱的性能を評価し、特性評価を行っています。
もちろん、製品は凍結したまま使用するわけではなく、使用前に解凍する必要があります。そのため、解凍試験も実施し、解凍プロファイルを作成しています。
こうした取り組みにより、お客様が実施するバリデーション作業の負担を軽減できます。
さらに重要なのは、これまでに試験したバッグだけでなく、実際に納品されるすべてのバッグが、試験したバッグと同等であることを確認している点です。
工程内管理と工程内モニタリングを実施し、実際に納品される製品が規定どおりのものであり、策定・検証した基準を満たしていることを確認しています。
Confidence® Validation Services
標準的な試験や工程管理だけでは、すべてのお客様固有の条件を網羅できない場合があります。そのため、ザルトリウスではConfidence® バリデーションサービスを通じて、追加のサポートを提供しています。
たとえば、お客様の実際の輸送条件を再現した輸送バリデーションを実施できます。
ISTAおよびASTM規格は、輸送中に発生し得る状況の大部分を網羅しています。しかし、非常に長い輸送ルートを使用する場合や、コンテナが税関で長時間留め置かれる可能性がある場合、製造拠点までの道路状況が特に悪い場合など、お客様固有の条件が存在することがあります。
こうした条件も、試験によって再現できます。
反対に、シミュレーションの観点から、条件を調整して試験を再実施することも可能です。
化学的適合性についても評価できます。ザルトリウスでは、標準的な条件に基づいてフィルムを広範に特性評価しています。
しかし、製品を安定させるために特殊な化合物を使用している場合、その化合物に関する既存データがない可能性があります。その場合は、フィルムをその化合物と接触させる試験を実施し、化学的適合性を評価できます。
これにより、ザルトリウスの製品だけでなく、より重要であるお客様の製品に悪影響が生じないかを評価します。
追加の完全性試験も提供できます。
さらに、抽出物・溶出物についても支援できます。これは化学的適合性とも関連しますが、化合物がフィルムに与える影響だけでなく、特定の条件下でフィルムから何が抽出されるか、実際のプロセス条件で製品中に何が溶出するかを評価します。
製品サイズとユーザビリティ
ザルトリウスでは、0.5 Lから12 Lまでの作業容量に対応する、四つのバッグサイズを提供しています。
Marionが説明したとおり、この製品は、バッグ、カセット、外側の保護シェルで構成されています。
この組み合わせによって、独自の機能を実現しています。
組み立て済みですぐに使用でき、使いやすいだけでなく、製品の視認性にも優れています。バッグの内容物を確認するために、カセットを分解する必要はありません。SafeCoreプレートを通して、内容物をすぐに確認できます。
プレートは平らな形状であるため、表面を簡単に拭き取ることができます。
バリデーションでは、原薬で一般的に使用されるマイナス80 °Cまでの条件で、複数回の凍結融解サイクルを実施しています。
この設計により、従来の方式では実現が難しかったさまざまな機能を組み込むことができます。
特に重要なのが、チューブ管理です。ほかの工程へ接続するため、チューブには簡単にアクセスできる必要があります。
一方、チューブは通常、アセンブリの弱点になりやすいため、アクセスしやすくすると堅牢性が低下する可能性があります。
この製品では、バッグの周囲にチューブホルダーを組み込んでいます。そのため、チューブに簡単にアクセスできると同時に、チューブを所定の位置に固定して保護できます。
また、バッグにテールゲートサンプルを追加するオプション、ラベル貼付用のスペース、さまざまなコネクターに対応できるスペースも用意されています。
まとめ
本日の要点をまとめます。
材料科学とアプリケーションに関する専門知識を組み合わせることで、信頼性が高く、お客様の用途に合わせたソリューションを開発できます。
初期段階で堅牢性のバリデーションを実施することで、完全性に対する高い信頼性を確保できます。そして最も重要なのは、その性能を日常的な工程管理によって継続的に確認することです。
こうした取り組みを組み合わせ、サプライヤーの専門知識を活用することで、お客様はバリデーション作業を大幅に簡素化し、負担を軽減できます。
しかし、堅牢性の本当の証拠は、私たちが説明する内容や、個々の試験結果だけではありません。
これまでに50,000個を超えるバッグが採用され、650億回分のワクチン供給に使用されてきました。この実績こそが、その堅牢性を物語っていると考えています。
皆様、ご清聴ありがとうございました。それでは、ご質問をお受けします。
質疑応答
接続部やチューブを変更する際の設計の柔軟性
Rachel:
Marion、Stefan、大変興味深い講演をありがとうございました。いくつか質問が寄せられていますので、引き続きお送りください。
最初の質問です。
「すぐに使用できるソリューションを提案する際、接続部やチューブの種類に合わせて設計を変更できる柔軟性を、どのように確保していますか?」
Marion:
私から回答します。
柔軟性という言葉にはさまざまな意味がありますが、チューブ、接続部、設計を変更できる可能性という観点でご説明します。
設計上、チューブは一体型のチューブホルダーに保持し、コネクターはシェルで保護できる範囲に配置する必要があります。
しかし、プレートとシェルによる保護範囲内に収まる限り、コネクターやチューブの種類を変更し、お客様の用途に合わせてカスタマイズすることが可能です。
ザルトリウスでは、さまざまな設計確認を実施しています。たとえば、お客様のプロセスで使用しているコネクターが大型の場合、そのコネクターがシェル内に収まるかを確認します。
市場で一般的に使用されているコネクターやチューブの多くは、低温アプリケーション向けにバリデーションされ、マイナス60、70、80 °Cでも破損しないことが確認されていれば使用できます。
複数のコンテナをマニホールド化することも可能です。たとえば、五つのコンテナを相互に接続し、同時に充填できるようにカスタマイズできます。
凍結融解カセットの試験と再現性
Rachel:
試験に関して、二つの質問が寄せられていますので、まとめて回答していただきます。
一つ目は、すべての凍結融解カセットで試験を実施しているのかという質問です。
二つ目は、試験の再現性を高めるために、将来的にロボットを使用する可能性があるかという質問です。
Marion:
こちらも私から回答します。
まず、一つ目の質問は初期バリデーションに関するものです。
製品を設計し、市場へリリースするための初期バリデーションでは、小、中、大の各サイズを含め、すべてのカセットタイプを試験しました。リリース前に、すべて同じ方法とプロトコルで試験しています。
現在のところ、ロボットは使用していません。しかし、試験の再現性を可能な限り高めるための対策を講じています。
先ほどの映像では、これらの試験専用に設計された落下試験機をご紹介しました。映像では見えにくいのですが、試験機には各落下の位置、寸法、高さが定められています。
試験自体は人が実施しますが、落下させる高さや距離は試験機によって固定されているため、非常に高い再現性を確保できます。
将来的には、ロボットでコンテナを試験する可能性も考えられます。
ただし、実際の使用環境では、オペレーターがバッグを冷凍庫から棚へ移動し、次の工程へ運びます。実際の取り扱いにおいて人が関与することを考慮し、試験にも人による取り扱いを含めることには意味があると考えています。
化学的適合性試験は液体状態と凍結状態のどちらで行いますか
Rachel:
次の質問です。
「化学的適合性試験は、液体状態と凍結状態のどちらで実施していますか?」
Stefan:
初期試験について話しているのか、Confidence® バリデーションサービスによるお客様固有の試験について話しているのかによって、回答が異なります。
Confidence® バリデーションサービスでは、液体状態と凍結状態のいずれの条件でも試験できます。
基本的な考え方は、お客様の実際のプロセス条件を再現し、適合性を評価することです。バッグの設計上の運転範囲内であれば、さまざまな化学物質や化合物の濃度、温度条件を設定できます。
したがって、試験条件はお客様のご要望によって決まります。
初期試験は液体状態で実施したと思いますが、Marionから補足をお願いします。
Marion:
通常、化学的適合性や抽出物に関する初期バリデーションは、まず液体状態で実施します。また、より高い温度でも試験します。
高温条件では、多層フィルムがより厳しい条件にさらされるため、ワーストケースを評価できます。
たとえば抽出物については、0 °Cよりも40 °Cで試験したほうが、一般的に多くの抽出物が検出されます。低温では化学的な挙動が全体的に遅くなるため、初期評価では、より厳しい高温条件を使用することが一般的です。