紙パルプ産業向けデータ解析
データ解析ソフトウェアによる生産コストの削減
一貫性と品質を維持しながら、パルプおよび紙の高い生産性を実現することは容易ではありません。生産性の向上は設備への負荷を増大させ、生産の中断は多大なコストにつながる可能性があります。また、プロセスのばらつきは品質に悪影響を及ぼします。そのため、設備の過度な消耗や損傷を防ぎながら、安定した生産を維持し、さらに向上させるための取り組みは、大幅なコスト削減につながります。
データ解析ソフトウェアを活用することで、パルプ・製紙工場は、高額な新規設備を導入することなく、コストの削減と品質の向上を図ることができます。ソフトウェアによるプロセスの最適化と制御は、廃棄物の削減、効率の向上、設備寿命の延長など、大きな効果をもたらします。
ソフトウェアだけでプロセスへの理解と性能を向上
SIMCA®多変量データ解析(MVDA)ソフトウェアを使用することで、生産プロセスを調整し、原材料の利用効率と生産量を向上させるとともに、設備の摩耗を低減できます。SIMCA®は、歩留まり、生産量、品質パラメータなどの過去のプロセスデータを使用して、最適な稼働状態にある生産プロセスのモデルを構築します。
また、回収ボイラーを含む蒸気・発電プロセスの最適化にも活用でき、燃料コストのさらなる削減と排出量の抑制に貢献します。
パルプ・製紙工場では、プロセスが複雑であり、抄紙機や補助装置をはじめとする数多くの設備が使用されているため、生産成果はさまざまな要因に左右されます。
ザルトリウスの多変量データ解析ソフトウェアSIMCA®は、過去の生産データを解析し、最終製品の品質、歩留まり、持続可能性をはじめとする重要な最適化目標に、最も大きな影響を与える要因を特定するための、包括的かつ使いやすいツールセットを提供します。
こうした最適化プロセスを通じて、原材料から最終製品までのプロセス全体を可視化し、品質を予測できるようにすることを目指します。
多変量プロセスデータ解析の大きな利点の一つは、膨大な情報を集約して可視化できることです。数百もの変数を含む長年にわたる過去のプロセスデータを、一つのグラフ上に表示できます。情報を集約してもデータが失われることはなく、前述の係数プロットなどのツールを使用して、任意の時点で詳細を確認できます。これにより、それぞれの時点でどの変数が最も大きな影響を与え、プロセスを左右しているかを把握できます。また、隠れた相関関係や因果関係を明らかにし、プロセスに対するさらなる見識を得ることができます。
このため、多変量データ解析は、オペレーターのトレーニングにも極めて有用なツールです。新任オペレーターは、工場内の各設備がどのように相互作用し、どの変数がその相互作用に影響を与えているかを確認することで、工場の仕組みをより深く理解できます。さらに、経験豊富な従業員が培ってきた知識をデータによって検証し、形式知として継承できるため、その従業員が退職した後も貴重な知見を維持できます。
データ解析によって解明できる、生産最適化に関する代表的な課題
- 生産を最適化するうえで、工場の操業に最も大きな影響を与える要因や変数は何ですか?
- これらの影響は、工場の運転モードや負荷レベルによってどのように変化しますか?
- これらの要因を活用して、環境負荷を可能な限り抑えながら操業するにはどうすればよいですか?
操業に影響を与える要因の間に、まだ把握できていない因果関係はありますか?
紙パルプ産業におけるモデルベースのプロセス制御
プロセスを最適なパラメータ範囲内に維持するために最も効果的な方法の一つが、リアルタイムのプロセス監視と制御です。迅速に是正措置を講じることで、廃棄物を削減し、効率を向上させることができます。
SIMCA®-onlineを活用すれば、生産プロセスを確実に管理し、より一貫した製品品質を実現できます。
紙パルプ産業における操業を監視・制御するには、他のプロセスと同様に、工場の構成に応じて、制御プログラムを分散制御システム(DCS)または製造実行システム(MES)に接続する必要があります。ザルトリウスの制御ソフトウェアSIMCA®-onlineは、DCSまたはMESに取って代わるものではなく、これらのシステムと連携して上位監視制御を実現します。
多変量プロセス制御は、簡単に導入できます。一般的な導入手順は以下のとおりです。詳細は、現場の状況やお客様の優先事項に応じて調整します。
適用範囲、リソース、要件を定義する
多変量解析ソフトウェアをセットアップする
データサイエンティストによるコンサルティングサービスを利用する、または以降の作業を担当するスタッフにトレーニングを実施する
データヒストリアンなどから、目的に適したデータセットを選定する
対象プロセスに大きな影響を与える変数を特定し、それらを基に多変量モデルを構築する
モデルをオンライン監視ソフトウェアにアップロードし、運用を開始する
必要なIT環境にアクセスできれば、コンサルティングやトレーニングを含むすべての手順をリモートで実施できます。そのため、外部の担当者が工場を訪問する必要はありません。
予測制御、さらには処方型制御を実現
リアルタイム監視には、予測制御を実現できるという利点もあります。
SIMCA®-onlineは、プロセスの推移を予測し、最適モデルから逸脱しているかどうかを判断できます。これにより、早期に変数を調整するなど、適切な対策を講じることができます。変数の調整は、クローズドループ制御によって自動的に行うことも、オペレーターが手動で行うことも可能です。
紙パルプ産業における操業を監視・制御するには、他のプロセスと同様に、工場の構成に応じて、制御プログラムを分散制御システム(DCS)または製造実行システム(MES)に接続する必要があります。
ザルトリウスの制御ソフトウェアSIMCA®-onlineは、DCSやMESに取って代わるものではなく、これらのシステムと連携して上位監視制御を実現します。
図に示すシステム構成は、シンプルな監視からクローズドループ制御まで、幅広いプロセス制御に利用できます。監視では、SIMCA®-onlineが受信したプロセスデータを最適なプロセスモデルと比較し、2σおよび3σの偏差限界を設定した一つの多変量管理図に表示します。これにより、プロセスが最適な状態から大きく逸脱しつつあることを、オペレーターが容易に把握できます。
予測制御は、さらに高度な制御への次のステップです。この段階では、履歴データの解析から得られた知見に基づき、ソフトウェアが進行中のプロセスの推移を予測します。そのため、プロセスの開始から一定時間が経過した時点で、歩留まりや品質パラメータなどのプロセス結果を予測できるほか、将来的にプロセスが管理範囲を外れる可能性も予測できます。後者の場合、目視で逸脱を確認できるようになるよりもはるかに早い段階で、オペレーターに警告できます。
最も高度な段階が処方型制御です。処方型制御では、重要な設定値について、どのような変更を行うべきかを提示できます。これにより、オペレーターは、プロセスの逸脱を防ぐために、どのパラメータをどの値に変更すべきかを把握できます。ザルトリウスでは、この機能を「Advised Future」と呼んでいます。必要に応じて、推奨された変更をDCSまたはMESへ自動的に書き戻すことで、クローズドループ制御へと発展させることも可能です。
データ解析ソフトウェアは、設備投資に比べてはるかに低コストです。通常、許認可を必要とせず、新しい設備を設置する場合よりも迅速に導入できます。
設備投資(ソフトウェアとの比較)
- 正式な予算審査に伴う多くの手続きと高額なコスト
- 複数のベンダーが関与する長期の導入プロセス
- 許認可の取得と規制要件への対応
- 新たな人員や大規模なトレーニングの必要性
- 導入期間中の操業の遅延または中断
ROIとコスト削減効果
プロセスの最適化と制御を目的にSIMCA®およびSIMCA®-onlineを導入した紙パルプ工場では、年間で投資額の6倍から9倍以上の投資収益率(ROI)が得られています。このソフトウェアの導入により、わずか数か月で数百万ドル規模のコスト削減が可能です。
紙パルプ企業における三つの導入事例
設備投資なしで排出量を削減
ソフトウェアを活用して発電と排出制御を最適化することで、新たな設備を購入するよりも大幅にコストを抑えられ、煩雑な許認可手続きも回避できます。
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プロセスの最適化と制御
データ解析ソフトウェアは、プロセスの最適化と、製造中のプロセス制御を支援します。
- 計画外のダウンタイムの削減
- 総合設備効率(OEE)の向上
- 原材料の利用効率の向上
- 複数の画面に代わる、一つの管理図による監視
- 不具合の迅速な特定
- 戦略のモデル化と成果の予測