細胞培養用の成長因子とサイトカイン
成長因子とサイトカインは、免疫系を構成するさまざまな細胞から分泌されるシグナル伝達分子です。免疫応答や炎症の調節において重要な役割を果たし、その機能や標的に応じて、さまざまな種類の細胞に作用します。
成長因子とサイトカインは細胞・遺伝子治療の分野で広く使用されており、細胞の増殖と分化、炎症反応、病原体に対する免疫応答の調節など、多くの生物学的機能に関与しています。
ザルトリウスでは、ex vivo細胞培養向けに、高品質な組換え成長因子・サイトカインの幅広いポートフォリオをご用意しています。研究用(RUO)から前臨床グレード、GMPグレードまで取りそろえており、いずれも動物由来成分およびキャリアタンパク質を使用していません。
CellGenix®の前臨床グレードおよびGMPグレードの成長因子・サイトカインは、同じ条件で製造されています。同等の製品品質と性能により、前臨床開発からGMPグレードへのスムーズな移行を可能にします。
以下から各品質グレードをご覧ください。
| グレード | 製品概要 | 使用目的 | 品質、サポート、文書 | |
|---|---|---|---|---|
| RUO | 組み換えヒトDNA技術を用いて製造された、キャリアタンパク質不使用の高品質な研究用(RUO)成長因子・サイトカイン | 基礎研究用 | 詳細はこちら | |
| 前臨床 | キャリアタンパク質不使用の組み換えヒト成長因子・サイトカイン。規制対応や原材料の品質に対する要件が比較的低い初期開発段階において、現行GMPグレードに代わる費用対効果の高い選択肢 | 前臨床段階でのex vivo使用。トランスレーショナル研究およびプロセス開発のニーズに対応 | USP General Chapter <1043>およびPh. Eur. General Chapter 5.2.12に準拠した使用が可能 | 詳細はこちら |
| 現行GMP | キャリアタンパク質不使用の組み換えヒト成長因子・サイトカイン。臨床試験から患者の治療までの使用に求められる高い品質・安全性基準を満たすため、関連する現行GMPおよび国際的なガイドラインに準拠した厳格な条件下で製造 | 臨床試験およびATMPの商業生産におけるex vivo使用 | 純度、力価、一貫性、安定性に関する文書化されたデータに加え、専門家による規制・技術サポートを提供。ほとんどの製品でDMFを利用可能。USP <1043>、Ph. Eur. 5.2.12、ISO 20399:2022に準拠した使用が可能 | 詳細はこちら |
高品質な原材料を支えるザルトリウスのコンピテンスセンター
遺伝子細胞治療向け試薬 | サプリメント向けサンプルのご依頼
細胞治療、遺伝子療法、ウイルス療法、タンパク質療法向けのサンプルをご提供しています。
成長因子とサイトカインについてさらに理解する
細胞タイプ別の成長因子とサイトカイン
免疫細胞
免疫細胞は、白血球とも呼ばれ、感染症や異物から体を守る役割を担っています。免疫細胞は、骨髄に存在する造血幹細胞と呼ばれる多分化能細胞から産生されます。
間葉系幹細胞(MSC)
間葉系幹細胞は、自己複製能を持ち、骨、軟骨、筋肉、脂肪細胞へ分化できる多分化能間質細胞です。再生能と免疫調節機能を備えていることから、再生医療への応用が広く研究されており、変形性関節症、心疾患、自己免疫疾患などを対象とした治療法の研究も進められています。
造血幹細胞(HSC)
造血幹細胞は、造血を通じてすべての血球系細胞を生み出す多分化能細胞です。主に骨髄、特に骨盤、大腿骨、胸骨に存在し、臍帯血や末梢血にも少数存在します。
造血幹細胞は、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、赤血球、血小板などの骨髄系細胞と、T細胞、B細胞、NK細胞などのリンパ系細胞を生み出します。臨床では、がんやその他の免疫疾患を持つ患者の造血・免疫系を再構築するため、骨髄、末梢血、臍帯血を用いた移植に使用されています。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)および胚性幹細胞(ESC)
iPS細胞と胚性幹細胞(ESC)は、体内のあらゆる細胞種に分化できる多能性幹細胞です。iPS細胞は、皮膚や血液などに由来する成体細胞をリプログラミングすることで作製されます。一方、ESCは胚盤胞期の胚の内部細胞塊に由来し、培養下で無限に増殖できます。
いずれも研究や新たな治療法の開発に役立つ重要なツールです。ただし、ESCの利用には胚の破壊を伴うため倫理的な懸念がありますが、iPS細胞は成体細胞に由来するため、この問題を回避できます。
オルガノイド
オルガノイドは、胚性幹細胞(ESC)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、成体幹細胞などから作製される、特定の臓器に似た小型の3次元構造体です。従来の2次元培養と比べて、ヒトの臓器の構造や機能をより忠実に再現できるため、発生、疾患、薬物応答の研究や個別化医療における有用なモデルとして活用されています。
オルガノイドは、脳、腎臓、肝臓、腸、肺など、さまざまな組織を対象に作製されています。ただし、臓器全体の複雑な構造や機能を完全に再現するものではなく、簡略化されたモデルです。
内皮細胞
内皮細胞は、血管やリンパ管の内側を覆う薄い一層の内皮を形成し、循環する血液やリンパ液と周囲の組織との間でバリアとして機能します。内皮機能障害は、高血圧、冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、血栓症、慢性腎臓病、がんの進行、重度のウイルス感染症など、血管疾患や全身性疾患の重要な予測因子です。
神経細胞
神経細胞(ニューロン)は、脳や神経系を構成する基本単位であり、感覚情報の受信、運動指令の伝達、電気信号の処理と中継を担っています。信号を伝える軸索と、信号を受け取る樹状突起を介して、離れた細胞間で情報を伝達します。
主な神経細胞には、光や音などの刺激に反応する感覚ニューロン、筋収縮を制御する運動ニューロン、脳や脊髄内のニューロンをつなぐ介在ニューロンがあります。
成長因子とサイトカイン関連リソース
よくあるご質問
研究用(RUO)、前臨床、現行GMPグレードの主な違いは、製造および使用に求められる品質基準と文書にあります。
研究用(RUO)の成長因子とサイトカインは、基礎研究用に製造されており、診断や治療を目的としたものではありません。通常は標準的なラボ手順に従って製造されますが、臨床使用に求められる厳格な品質要件を満たしていない場合があります。学術研究のほか、創薬、スクリーニング、標的同定などの研究用途で広く使用されています。
CellGenix®の前臨床グレードの成長因子とサイトカインは、遺伝子細胞治療の初期開発段階での使用を目的としています。CellGenix®の現行GMPグレード製品と同じ条件下で、同一の製造工程と発現系を用いて製造されています。これにより、同等の製品品質と性能を実現し、前臨床グレードから現行GMPグレードへのスムーズな移行を可能にします。
前臨床グレードは、規制対応や原材料の品質に対する要件が比較的低く、現行GMP関連文書へのアクセスがまだ必要とされない前臨床段階において、費用対効果の高い選択肢となります。
CellGenix®の現行GMPグレードの成長因子とサイトカインは、臨床試験から患者の治療までの使用に求められる高い品質・安全性基準を満たすため、関連する現行GMPおよび国際的なガイドラインに準拠した厳格な条件下で製造されています。前臨床グレードとの主な違いは、規制対応支援に加え、より厳格な規格と文書を含む、包括的な品質管理(QC)試験が提供される点です。
成長因子は、細胞の増殖、分化、遊走を調節するシグナル伝達分子です。「サイトカイン」という用語は、もともと免疫細胞や造血細胞に作用する成長因子の一群を指すために使われていました。
しかし現在では、サイトカインがさまざまな細胞種に作用し、細胞の増殖や分化に多様な影響を及ぼすことが明らかになっています。そのため、「サイトカイン」はより広い意味で用いられ、「成長因子」と同じ意味で使われる場合もあります。
各サイトカインは、その生理学的な作用機序を反映した適切な細胞ベースのバイオアッセイを用いて、機能的に検証されます。試験には、応答性細胞株の増殖や活性化、ダウンストリームのシグナル伝達応答の誘導などが含まれます。
生物活性は、該当する場合、社内標準品または国際標準品を用いて測定し、1 µgあたりの単位(U/µgまたはIU/µg)で示されます。
さらに、すべてのロットは、純度、同一性、エンドトキシンレベルについて定められた規格に基づいて出荷判定され、ロット間で一貫した性能が得られるよう管理されています。